【11月10日(月)の営業案内】
▼ 本日は終日、喫茶も営業中 ▼

豆・焼菓子の販売、店内でのご飲食ともに 9:00~18:00 です。

【コラム】静けさをもてなすということ ── うさぎとぼくの接客哲学

大阪・阿倍野の昭和町にある築92年の長屋で営む、自家焙煎珈琲店「うさぎとぼく」です。
お店のあり方について、ちょっと考えたことについて書きたいと思います。しばしお付き合いくださいませ。

「自己肯定感が不安定な人」が静かな珈琲店に向かない理由

私たちは、精神保健福祉士として福祉施設や社会とのつながりを大切にしてきた経験から、お客様の雰囲気や心のコンディションを、ほんの少し敏感に感じ取ることがあります。

ときどき、「自己肯定感が不安定で、他者との距離の取り方が難しそうな方」がいらっしゃることがあります。一般的によく言う「キョドってる」というのともまたちょっと違った、場面とその人とのちょっとしたズレ。
そういった方に共通するのは、“自分がどう扱われたか”で自尊心を測る傾向があるということ。

静かな珈琲店という空間は、「自分と向き合わざるを得ない場所」でもあります。
心の中のノイズが、静けさの中でいっそう鮮明になる。

そして、承認を求める気持ちが強いと、その静けさを“歓迎されていない証拠”として感じ取ってしまうことがあるのような気がします。

「甘やかさない優しさ」をもてなしに

うさぎとぼくが大切にしている“もてなし”は、相手を甘やかすことではなく、距離を持って寄り添うこと。

「落ち着いた人間関係」や「理性的な優しさ」を大切にしています。
ときには、その理性が“冷たさ”に見えることもあるかもしれません。
けれどそれは、お客様を「依存ではなく、自立の心」で迎えたいという思いの表れです。

私たちにとっての“もてなし”とは、
過剰な演出ではなく、静けさを通して心の余白を提供すること。
誰かの不安を埋めるのではなく、
安心して“ひとり”になれる空気を整えることだと考えています。

静けさは、人のノイズを映し出す鏡

静かな空間は、時に人の心の揺らぎを映す鏡にもなります。
そしてそれが、「うさぎとぼく」というお店の特徴でもあります。

にぎやかなお店では気づかない感情も、この長屋の静けさの中では、ふと顔を出します。
それはお客様にとっても、私たちにとっても、“自分と向き合うきっかけ”なのかもしれません。

おわりに

うさぎとぼくは、「やさしさ」と「静けさ」と「理性」をテーマにした喫茶店です。

静けさを好む方に、穏やかな時間と心の余白を。
そして、誰かをもてなすすべての人に、“甘やかさない優しさ”という選択肢を。

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