こんにちは。阿倍野昭和町の珈琲店「うさぎとぼく」です。
今回は、静かで落ち着ける空間として定評のある「うさぎとぼく」ですが、科学的に検証をしてみると、読書をするにも中途半端な音の大きさで、なんとなく雰囲気で押していますよ…という話ができればと思います。
読書をされるお客様が多いお店
ありがたいことに「うさぎとぼく」では、静かに本を読んで過ごされるお客様をよくお見かけします。読書ばなれと言われて久しい世の中。お店としてはありがたいことだなぁと。その様子は、自分たちがとても大切にしているお店の一部です。入店いただく際には「話し声は穏やかに」とお願いしているのもそんな理由から。
ただ、ちょっと立ち止まって考えてしまうことも…。
「うさぎとぼくの環境音は、本当に読書に最適なのかどうか…」
お客様が過ごす大切な時間なので、今日は少し科学的な視点も交えながら、お店の「音」について、またバリアフリーなどについて考えていることをお伝えできればと思っています。
シーン別で 最適な「音の大きさ」は?
今回の検証をするなかで、あらためて学んだのですが、私たちの集中力や心地よさは、「音の大きさ(dB)」によって大きく左右されることが、様々な研究でわかっています。
勉強や仕事が「はかどる」音量 → 約70dB
意外にも、完全な静寂より、少し賑やかなカフェくらいの環境音(70dB)の方が、創造性が高まるという研究結果があります。適度な雑音は、突発的な音をかき消し、集中力を維持しやすくしてくれるのです。体感的には「えっ、こんなに騒々しいの?」と感じるくらい。
読書に「没頭できる」音量 → 約50dB
一方で、じっくりと何かに集中したい時、特に読書には、静かな事務所や図書館くらいの50dB程度の環境が理想的とされています。静かすぎず、うるさすぎない、絶妙なバランス。
感覚過敏の方が「心地よい」と感じる音量 → 40dB以下が一つの目安
音に敏感な方にとっては、図書館レベル(40dB)か、それ以下の静けさが望ましいとされています。ただ、これはあくまで目安。音量だけでなく、「どんな音がするか」という音の質も非常に重要になります。音質としては、話し声よりも機械音のほうが気になるんじゃないかなぁと。
うさぎとぼく店内の、正直な「音」の話
さて、この数値を踏まえて、正直にお店の環境をお話ししますね。
店内は、お客様がいらっしゃらない時でも、焙煎機や空調、冷蔵庫などが発する「機械音」が常に聞こえており、音量は約60dB前後。静かな話し声で…とお願いしているので、お客様がいらっしゃるときでもそこまで音量に変化はなさそうでした。
ということで、お気づきでしょうか…。
うさぎとぼくの環境は読書に向いていなかった…
この60dBという数値は、仕事をするには少し静かすぎ、読書に没頭するには少し賑やかという、どっちつかずの環境。特に、人の話し声よりも気になることがあるこの絶え間ない機械音は、静寂の中でじっくりと本の内容を読み解く…という環境としては、最適ではなさそう。これといった改善策もなく、環境的には中途半端…。
ただ、多くのお客様が「うさぎとぼく」で本を読んでくださっている。
お客様が求めているのは、研究データで示されるような完璧な環境ではなくて、「カフェで読書をする」という、その時間や体験そのものなんじゃないかなぁ…と。
コーヒーの立ち上る香り、他のお客様が過ごす穏やかな気配、そして食器のかすかな音。そういったカフェならではの空気に包まれながら本の世界に没頭する。難解な学術書と向き合うのではなく、好きな小説やエッセイの世界を、五感で味わうように楽しむ。
うさぎとぼくは、そんな「体験としての読書」に、ちょうど良いのかもしれません。もしそうであれば、とても嬉しく思います。
という感じで、良い感じにまとめてうやむやにしていこうと思っている次第です。
感覚過敏の方へ。奥の席の可能性と、私たちの課題
環境音についてお話しするときに気にかかるのが、感覚過敏の方のこと。
お店の奥には、長屋の前栽として使われていた、少しだけ静かなスペースがあります。こちらの音量は約50dB。数値の上では、読書に最適な環境に近くなっています。
「じゃあ、この場所が音に敏感な方や感覚過敏の方が心から安らげる場所か?」と問われると、まだちょっと気になる環境かなぁ…と。
たとえ音量が少し低くても、特定の機械音は聞こえてきますし、完璧な配慮が行き届いているとは言えないのが現状。感覚過敏の方が本当に求めている「静けさ」や「安心感」には、まだまだ及ばなさそう。
ただ、うさぎとぼくがさらに「すべてのお客様にとって、より心地よい場所」を目指すとしたら、まず取り組むべきなのは、この奥の席ではないかと。
感覚過敏の方のご要望に応じて、「BGMの音量を調整する」「引き戸を使って機械音をある程度遮断する」などの配慮はある程度可能だと思っています。完璧ではないかもしれないけれど、できることから少しずつ。
心地よいBGMが誰かにとって苦痛になったり、落ち着いた静けさが誰かにとっては不安になったり、人それぞれに正解がないのが「音」の難しいところ。
すべての人を満足させる単一の完璧な環境(=絶対的な正解)は存在しないんですね…。
なので、おそらく必要なのは「選択肢があること」。
お店としてフレキシブルな活用を考えていくことができればと思っています。








