組織で仕事をしているわけではないので、仕事や生活にほとんど変わりはないのですが、気持ちがぷわぷわとする 4月、新年度。
ドリップバッグのパッケージデザインを少しだけ変更しました。
ロゴの下に添えていた文字を「With Craft & Care」に。
元々はコロナ禍のタイミングで、「何かお客様に向けてメッセージを添えよう」と思い、「Have a relaxing time」という言葉を入れていました。
まぁ、それはそれで悪くはなかったんじゃないかなと思います。
ただ、お店のコンセプトを表す言葉かと聞かれると、ちょっと違う。ありきたりと言えばありきたりで、別にウチじゃなく他のお店にも当てはまる言葉だったんですよね。
で、ここ最近、AI時代の到来という大きな変化を前にして、自分たちが何を大切にしてきたのかをあらためて見つめ直してみました。
便利な時代になっていくからこそ、あらためてフォーカスするという意識はもちろんあるのですが、特に新しいことを始めたわけではなくて、開業してからずっと軸にしてきたものは、こういうことだったんじゃないかという感じに近いかもしれません。
Craft — 「用の美」ということ
民藝という言葉があります。
商品づくりをするなかで意識するようになった言葉。英語に翻訳すると「Folk Craft」という単語になるそうです。
柳宗悦が見出した「用の美」。
名もない職人がつくった、使うための道具に宿る美しさ。飾るためではなく、手に取って、使われて、暮らしのなかで馴染んでいくもの。
私たちのコーヒーも、それに近いような気がしています。
店内で提供しているメニューやラテアート、コーヒー豆や焙煎へのこだわり、そういったものは確かにあるんですが、結局は「日常的に消費されるもの」なんですよね。
作家性や自己表現が先にあるのではなくて、使われること——食べ飲みされることが先にある。
お店で取り扱っている福祉施設の商品でも同じ。利用者さんたちの手間をかけた商品づくりに、手づくりならではの良さを感じるところです。
効率を優先すれば省ける手間を、あえて省かない。
その手間をかけた商品のなかに、私たちが大切にしている姿勢がひっそりと宿っている。
それが「Craft」という言葉が表している思い。
はたから見ると、素朴であるし不完全に見えたりもする、なんてことのない商品かもしれない。ただ、その商品に私たちが美しいと思う正しさ、倫理が宿っているということを信じています。
Care — 「結果としての利他」ということ
利他と聞くと、「人のために何かをする」というイメージが先に来ると思います。
でも、自分たちが考える利他は、もう少し穏やかなもの。
誰かのためにしてあげるというような、利己的にも見える能動的な利他ではなく、生態系を維持するシステムのような自然な行い。
私たちの思いの外側にある、私たち自身も変わっていく可能性を含んだ余白のあるもの。
少し身近なところで言えば、お料理ひとつとっても、自分たちの思いが強すぎると押しつけがましい味になってしまう。
福祉の支援でも、支援者と利用者という関係性を固定してしまうと、いささか窮屈になってしまう。
それは、私たちの思う利他とはずいぶんと違う。
私たちが大切にしているのは、誰かの何かのためにはなっているけれども、結果としての利他。
それは人に対してかもしれないし、猫に対してかもしれないし、この街の空気に対してかもしれない。
そう考えると “Care” の「手」は、私たちが差し出す手ではなくて、相手側の手のことを指すのかもしれません。
手づくりと手ざわり
ロゴ下に入れたメッセージ「Craft & Care」
難しそうに言えば「民藝と利他」。
やさしく言うなら「手づくりと手ざわり」。
「民藝」と「利他」は別々の言葉ですが、根っこのところでは同じことを言っている気がします。自分のためではなく、使われること・届くことを信じて手を動かすということ。
手づくりと手ざわり、自分でもすごく上手いことを言っている気がする。
どちらも「手」の話。
つくる側の手と、受け取る側の手。
これから先、自分たちが大切にしていくテーマになるような気がしています。
これからも「Craft & Care」に立ち返りながら、深化していくことができれば。
ではでは。







