ありがとうのうた
シングル|2026年8月27日リリース|2分49秒

灯りをひとつ持って、暗いほうを見ている。照らせるのは、すこしだけ。
見送りのうたです。ほとんどがハミングで、最後に「ありがとう」「だいじょうぶ」の二語だけが言葉になります。歌うのは子どもの声がひとり。アコーディオンのワルツにのせて、誰かが誰かを見送ったあとの時間を歌っています。
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歌詞
まだ ここに 立って いる
灯りを ひとつ 持ったまま
くらい ほうを 見て いる
てらせるのは すこしだけ
それだけの こと
きみが 行って しまった あとで
まだ ここに 立って いる
あしあとが ひとつ ふたつ
きみが 歩いた あとの かたち
あかりの そとで きえて いく
かぜの おとだけ
帰り道は まだ くらい
気をつけて とは 言えないから
くちずさむ だけ
きみが 行って しまった あとで
まだ ここに 立って いる
ありがとう
だいじょうぶ
この曲ができるまで
灯りを持っているのは、BGMのアルバムで森を案内したうさぎ
表向きは、誰かが誰かを見送るうたです。恋人でも、家族でも、店を出ていくお客様でも成り立ちます。
そのうしろにもう一枚あって、灯りを持って暗いほうを見ているのは、アルバム『うさぎとぼく、森の奥へ』で「ぼく」を森の奥へ案内した、あのうさぎです。
森という言葉も、うさぎという言葉も、歌詞には一度も出てきません。それでも灯りを持って暗いほうを見ている誰かは、あの物語を知っていればうさぎだと思っていただけるでしょうか。
固有名詞をひとつも入れませんでした
長屋も、昭和町も、コーヒーも喫茶店も言葉としては入れていません。Instagramの音源ライブラリから、「誰かを見送ったことのある人」のどなたでも自分の投稿に貼れるように使っていただけたら良いなと。
もともとの始まりは、ご来店の投稿にタグ付けをいただいたとき、お礼として貼れる曲がほしい、というところでした。
「気をつけて」とは言わない
このうたが見送るのは、入ってきたときと同じ人ではありません。森で迷っていた人物が、一息ついて、自分の足で帰れるようになっている。心配は相手をまだ弱い者として扱う言葉なので、そこでは使わないことにしました。
かわりに、最後の「だいじょうぶ」が心配ではないかたちで同じことを言っています。ひらがなのままにしているのは、漢字にすると励ましの語気が立ってしまうからです。
なぜ、ほとんど言葉がないのか
言葉がなければ、どんな投稿とも喧嘩しません。ミュゼットやシャンソンは、もともとラ・ラ・ラで歌う形式でもあります。
そして、言えなかった感謝が一拍遅れて届く、という仕掛けと、最後の二語だけが言葉になるという歌詞の形が、そのまま重なります。声を子どもひとりに絞ったのも同じ理由です。見送っているのは一人なので、声が重なると独り言でなくなってしまいます。
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