もちづきよ(お月見のうた)
シングル|2026年9月3日リリース|2分41秒

十五夜だというのに、月は雲に隠れて見えません。それでも森のうさぎたちの足は、かってに跳ねはじめます。
受け取る相手がいなくなっても餅を搗きつづける月のうさぎと、理由も知らないままそれを真似る森のうさぎたち。今昔物語の説話をもとにした、三拍子のわらべうたです。アコーディオンと子どもの声で、明るく歌っています。
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歌詞
としに いちどの おつきさま
くもに かくれた もりのうえ
だれも みつけて いないのに
あしが かってに はねうごく
とんとこ ぴょんとこ
ぴょんとこ とんとこ
くもの きれまに うつる かげ
おなじ かたちに てが うごく
もういいかいと いいもせず
とんとこ ぴょんとこ つきまねる
とんとこ ぴょんとこ
ぴょんとこ とんとこ
かげの なかでは みが やけて
けむりは くもに かわりゆく
わたす あいても もうおらず
やめかたばかり わすれてる
まあだ だよ
まあだ だよ
まあだ だよ
もりの ひとつの てが とまる
そらを みあげて なみだ おちる
とんとこ ぴょんとこ
とんとこ とんとこ
とんとこ とんとこ……
もういいよ
この曲ができるまで
月にのぼった兎の話
今昔物語集に、兎の話があります。飢えた老人に差し出すものが何もなく、兎は自分から火に飛び込みました。その兎は月へ上げられた、という話です。
月に見える影は、そのときの焦げ跡。雲は、焼けたときの煙。この曲はそこから始まっています。
ただ、火に飛び込む場面は歌詞に書いていません。書いてしまうと説話の要約になってしまうからです。三番の「かげの なかでは みが やけて/けむりは くもに かわりゆく」まで。それ以上は言わないことにしました。
なぜ明るい曲にしたのか
悲しい話を悲しく歌うと、ただの悲しい歌になります。短調にすると、歌のほうが意味を理解してしまう。そうすると、聴いたときのひやりとした感じが消えてしまいます。
だから長調の、跳ねるようなワルツにしました。無邪気な声と明るい節で、取り返しのつかないことを歌う。そのちぐはぐさのほうが冷たい、と思ったからです。
参考までに、制作の途中で外部のAIにも相談しましたが、どれも短調をすすめてきました。歌詞だけを読めば当然だと思います。この曲だけは、そうしませんでした。
忘れているのは、やめ方だけ
月のうさぎは、渡す相手がもういないことも、たぶんわかっています。忘れているのは、やめ方だけです。
森のうさぎたちは、年に一度だけ体が動きます。真似ているけれど、理由は知りません。誰も「もういいかい」と訊いていないのに、「まあだ だよ」が三度返ってきて、最後に「もういいよ」で終わる。かくれんぼは、一度も始まらないままです。
雲は、三つの段すべてに出てきます。一番の「くもに かくれた」、二番の「くもの きれまに」、三番の「けむりは くもに」。十五夜の歌なのに、月は最後まで姿を見せません。
三拍子にした理由
わらべうたはたいてい二拍子ですが、この曲は三拍子にしています。搗く音を三拍子に置くと、拍が毎回きれいには揃いません。いつまでも着地しない餅つきになります。
SNSでのご利用について
Instagramのリールやストーリーズ、TikTokなどのSNS投稿で、この曲をお使いいただけます。それぞれの音源ライブラリで「うさぎとぼく」と検索してください。
クレジット表記は必要ありません。どうぞご自由にお使いください。
2026年の十五夜(中秋の名月)は9月25日(金)です。
