お客様の会話。人の会話を盗み聞きするなんて趣味が悪い…と思われるかも知れないですが、聞くつもりはなくてもやっぱり耳に入ってくるもの。
小さく静かな店内。普段から少し大きめの声で話されている方は、店内にいる全員に会話の内容が知れ渡っていると思って差し支えないです。そして、個人情報まで晒すことはないですが、性格が歪んだ店主のいるお店はブログネタとして使う場合もある。
飲食店に足を運ばれる際は、そういう認識で過ごしていただけると良いかと思います。
先日、テーブルにいたお客様が「同僚のワキガについて」のテーマでずっと会話しておられました。
「本人は自覚がないんかな」「デオドラントスプレーとか持ってきてないしな」「家族も言わへんのかな…」などと話しておられたんですが、お店にとって気になるのは「その場にいない同僚のワキガのにおいよりも会話の内容」。
周りのお客様は詳細にワキガの話を脳内でイメージながら、コーヒーを飲んだりケーキを食べているんですよね。正直、気持ちの良いものではなかっただろうなぁ…と。においだけでなく人を蔑むような話としても…。
同僚が自分のワキガを自覚するより先に、この場での自分の振る舞いを自覚してほしい。
店内では、ワキガの同僚よりも、その場にいたお客様のほうがワキガのような存在でした。
そんなこんなで、どんだけワキガの話で盛り上がるねんとか思いながら、なんとなく会話の内容を変えてもらうようお願いするタイミングを見失ってしまいました。
先日、実家の長野から届いたリンゴを持って、夫人がご近所さんにおすそ分けに行ったときのこと。
玄関先で「コーヒーのいい香りするわぁ」と言われました。
コーヒーのにおいが体に染みついているみたい。直前まで豆は焙煎していたけど、自分たちの体ににおいが染みついている自覚はない。
でも、加齢臭でなくコーヒーのにおいで良かった。
朝にお店をオープンした直後、焙煎もしておらずコーヒーの抽出もしていないのに、入店されたお客様が「コーヒーのいい香り」とおっしゃるときもあるので、自分たちだけでなく建物にもにおいがついている。5年もお店をやっているとそうなるか…。
普段からずっと嗅いでいる自分のにおいや建物のにおいって気づかないですもんね。知人の家にお邪魔したときのにおいを感じて「自分の家にも特有の匂いがあるんだろうなぁ」と認識するくらい。でもやっぱり、どんなにおいか分からないものです。
なので、お客様が話していたワキガの同僚も自分のにおいにはやっぱり気づかない。自分のにおいで気分が悪くなると毎日が大変なことになるから、馴れて気づかなくなってくように人間は構造としてできているんだと思う。
もしかしたら、自分で気がつかないだけで店主もえらいことになってるかもしれない。
まぁ、何が言いたいのかというと、飲食店での会話は自分たちが思っている以上に周りに聞こえているので、会話のテーマやトーンには気をつけていただければなぁ…ということ。聞かれたら都合が悪い内容だけでなく、聞かせたら都合の悪い内容もあるんですね。
気分が悪いと感じる人の多い話などはやっぱり避けたほうがいいです。
もちろん、飲食店のブログでワキガの話を書くのも、もってのほか。