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【コラム】合理的配慮の義務化について考えること

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2023年4月から合理的配慮が義務化されました。障がいのある人が不当な扱いを受けることなく、サービスを利用する上での困りごとなどを取り除くための調整をしましょうねという話。
障がいのある人への支援をしてきた立場と、合理的配慮を提供する事業者としての立場から、現時点で考えていることを書いておければと思います。

詳しくは、内閣府から出ているリーフレットをお読みいただければと思います。

リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」 - 内閣府
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的...

合理的配慮は、障がいのある人からの申し出があった場合に提供するもの

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律を読むと、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合」に合理的な配慮に努めなければならないという旨が書いてあります。
サービス提供者のホスピタリティとしては、お客様の様子から察して対応できたほうが良いと思いますが、法律では「申し出があった場合」なんですね。
お店への口コミでもお店側が察してくれなかったことから生じるクレームもいただきますが、合理的配慮はお客様からの意思表示あってのものという共通認識は、事業者とお客様の双方が持っておいたほうが良いのかなと思います。

障害者福祉サービスの提供でも、ニーズとして書かれていないことはしないという認識になってきていますので、それと同じことなのかなと思います。

合理的配慮は、ソフト面で個々のお客様に対応すること

障がいのある人への合理的配慮を考えるには、3層の構造で理解する必要があると思っています。

まず1つ目が「環境の設備」
バリアフリーやユニバーサルデザインなど、あらゆる人がサービスを受けられるようハード面を整えること。建物の構造も含め、お客様の導線や情報提示の方法、物の置き方の工夫、声掛けなど、サービスの使いやすさや分かりやすさを考えたシステムにしておくことが必要だと思っています。この環境の設備をどのお客様にも共通の全体最適として捉えます。
人材不足により、個別対応がどんどんと難しくなっていくと予想されるので、可能な限りこの環境設備でどのお客様でも平等にサービスが利用できるよう環境を整えておくことが重要だと考えてます。
現時点では、この環境設備については「努力義務」となっているようです。(義務化されることは当面ないだろうと予想しています)

2つ目が「合理的配慮」
環境設備を整えることだけでは対応できない個々のお客様のニーズに対しては、従業員のホスピタリティで対応します。個々のお客様に対する部分最適。ソフト面でお客様へのニーズに対応することが「合理的配慮」に相当すると考えています。障がいのあるお客様が平等にサービスを受けられるようにはどのような対応が考えられるか、どこまでが合理的配慮に当たるのか、事例を積み重ねながら検討していくことが大切だと思っています。

3つ目が「福祉サービスの利用」
事業者側で合理的配慮としての範疇を越えると判断する部分については、ガイドヘルパーなどの福祉サービスの利用も視野に入れながら、お客様と相談の上サービスを利用いただくことができればと思います。
経験上から、お客様自身で福祉サービスの必要性を判断されている場合も多いですが、合理的配慮が事業者側のサービスの範疇を越えると判断したときは、お客様との相談の上、福祉制度を利用いただけると良いのかなと思います。場合によっては、サービス利用をお断りせざるを得ないこともあるかも知れません。

以上の3層構造で捉え、お互いに尊重や理解をしながら、お客様が心地よくサービスを受けられるよう対応を検討することが必要になります。

合理的配慮は、コミュニケーションあってのもの

合理的配慮は一方的なものにならず、お互いの尊重や理解、建設的な対話があってこそのものです。事業者側も障がいの理解に努めながら、障がいを理由にサービス利用が制限されることがないよう、検討していくことが大切だと思っています。

お店としても障がいへの理解を進めながら合理的配慮の範疇を見極め、個々のお客様へのきめ細やかな対応ができれば良いなと思っています。配慮が必要なことを認識されていない当事者の方もたくさんおられるので、申し出の有無に捉われずお店としてのホスピタリティを発揮していければと。

障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト
我が国では、障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生きる社会(共生社会)を実現するため、「障害者差別解消法」を定めています。 このサイトは、企業や店舗などの事業者等が障害のある人に対して行うこととされる「合理的配...
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