統一QRコード、SNSでは便利と騒がれているけど実際のところはどうなの?
統一QRコード「JPQR」が6月22日から受付を開始するとのニュースが出て、ご来店になったお客様も話題にあげていました。
たくさんあるQR決済サービスのQRコードをひとつにまとめるという事業で、総務省と経済産業省が連携して行っています (QRコードは一度も決算発表をしたことのないらしいキャッシュレス推進協議会が策定しているそうです)。いくつかの県で試験導入し、今月から全国展開。10万店舗の導入を目標にしているそう。
ポイントとしては、
・QRコードをひとつにまとめられる。
・マイナンバーカードと連携したマイナポイントの還元が受けられる
の3点があげられます。
SNSのタイムラインを見ていると「これまでPayPayしか使えなかったところで他の決済を使えるようになる」とか「どの決済が使えるのか意識しなくて助かる」みたいなことを書いている人がいたんですが、それはまったくの誤解で、QRコードがひとつにまとまってもすべてのサービスが使えるわけでもないようだし、普段使って言る決済方法によっては判断も難しくなるような気がします。あと、そもそも導入するお店ってあるんだろうか…という話も…。
同じQRコードでも使える決済方法はまちまち
JPQRが対応している決済は
commoney、J-COINPay、はまPay、FamiPay、PayPay、ほくほくPay、MoneyTap、YOKA!Pay、楽天Pay、(AlIPay、WeChatPay)
と聞いたことのない決済までたくさんあるんですが、一括申込できる決済事業者は1行目に記載した5社のみ。
ウチでも使う人の多いPayPayや楽天Payは個別登録となっています。その他、pring(プリン)などリストには入っていないサービスも。
申し込んだお店が、すべての決済方法を選ぶわけではないんですね。統一QRコードを使っているお店でも、店舗によって導入している決済サービスが違う場合もあります。例えば、楽天ペイを使っている人が統一QRコードの表示を見つけても、利用できるかどうかはお店次第。QRコードはひとつだけど、(普段使っている決済サービスによっては)どの決済が対応しているか確認する手間は変わらないということ。面倒な確認作業は変わらない気がします。
PayPayだけ導入している店舗はJPQRを導入しない
決済手数料を見てみると、サービスによって差がありますが「最低1.5%(税別)〜最高3.25%(税別)」と、コストを抑えられるQR決済なのにまぁまぁ高め。PayPayだけを導入している個人店などは決済手数料の安さ(2021年9月まで無料)や入金サイクルの速さから利用していると思います。
JPQRに統一した場合のPayPayの手数料を見ると「1.99%(2021年3月末まで)、2.59%(2021年9月末)、3.24%(2021年10月〜)」となっています。なんとクレジットカード並みの手数料に。統一されているのはQRコードだけで、入金サイクルや振込手数料なども決済サービスによって違うそう。事業者側にとっては仕訳業務も煩雑になりそうです。
もしJPQRを導入しても「PayPayは別で」とQRコードをまとめないお店も多そう。
チェーン店はお客様がQRコードを提示するパターンが多いだろうし、小規模店舗(個人店)で導入するところがあるのかなぁと。
JPQRを導入するのであれば、むしろクレジットカードやSuicaなどFelicaでの決済を検討したほうが良さそうな気がします。
ニュースを見て便利だというコメントをチラホラと見かけますが、QRコードがひとつになるだけでまったく便利なことはないよなぁと。お客様にとっても誤解を招くことが多そうな気がします。
キャッシュレス決済を推奨しているウチのお店でも、いまのところ導入するという判断は難しそうです。
(あと、マイナンバーカードとの紐付けで還元(上限5000円)されるマイナポイントについては、JPQRでなくとも還元されますので念のため。)